頸性めまい(眩暈)とは、頸部以外にめまいの原因となる脳疾患や全身性疾患が認められない患者において、肩や頸部に負荷が掛かることで起こるめまいのことを指します。
メニエール病や良性発作性頭位めまい症と診断された方のなかにも勁性めまいは数多く潜んでいて、9割以上というデータもあります。
まず脳血管障害に起因する中枢性めまいや、虚血性心疾患や大動脈解離などによる血管性めまい、消化管出血や子宮外妊娠破裂などによる起立性めまいではないことを確認します。
こうした中枢性めまいの可能性が低ければ、良性発作性頭位めまい症(Benign paroxysmal positional vertigo:BPPV)やメニエール病などの末梢性めまいを念頭に鑑別を進めていきます。
末梢性めまいの鑑別の際には頭位変換による眼振の種類や方向などを参考に診断するほか、三半規管内の耳石を動かす体操を行うなどして様子を見ることが多いです。
しかし、これらの末梢性めまいと診断された患者の中にも頚性めまいは数多く潜んでいるようです。頚性めまい患者の8割が過去に頚部に負担のかかる姿勢を取っていたことが分かっています。
10~50代の男性では事務仕事やパソコン操作などが誘因であることが多く、
10~50代の女性ではパソコン操作に加え、子や孫の世話が誘因になっていることが多いようです。
頸性めまい患者で発現するめまいの種類としては浮動性めまいが8割で、残り2割ほどが回転めまいのようです。
頸性めまいを疑った場合、どのように診断していけばいいのかの手順は、
「ふらふらするめまいか、ぐるぐるするめまいか」という質問に始まり、
脳血管疾患や耳鼻科疾患を除外するために、
「頭が痛かったり、重かったりはしませんか。耳鳴りや耳の調子がおかしい感じはありませんか」と問う一方で、
必ず肩こりの有無を患者様に確認します。
人によっては肩こりの重症度の受け止め方が異なるため、「肩こりはない」という患者にも「首や肩が重いようなすっきりしない感じはないか」と質問することが有効です。
さらにめまいが出現した時期よりも前に、頸部を酷使するようなエピソードがないかを確認することも大切です。
また
(1)運動不足かどうか、
(2)パソコン作業などの姿勢の問題を抱えていないか、
(3)ストレスで緊張することが多いかどうか、
(4)首から上(眼や歯)に悪いところはないか、首から下(腰や膝)が悪くないか
の4つがチェックポイントです。
鍼灸マッサージで勁部の緊張を緩める、姿勢を正す、軽く運動をする、などが有効です。